去る7月6日、”ボサ・ノヴァの神様”ことジョアンジルベルトがお亡くなりになりました。
この知らせが世界中を駆け巡り、たくさんの人たちが悲しみにくれたであろうことは、容易に想像できます。
かく言う私も、いつか来るであろうその日が現実のものとなり、何か心に大きな穴が開いたような気分をずっと引きずったままです。
彼の音楽を、意識して聴き始めたのは、14年前の夏でした。
それから、本当に夢中になり、それまで彼が発表した音源をすべて集めるのにあまり時間はかかりませんでした。
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伝説の1stアルバムのヴァリエーション。 |
それまで、ボサノヴァという音楽に対して抱いていた印象とはまるっきり違った、ミニマルでハード・コアな音像に衝撃を受け、寝ても覚めてもそのことばかり考えていました。
なんとか、生でその音楽を体験できないものたと思っていた頃、3度目の来日公演があり、2006年11月8日に東京国際フォーラムホールAにて一度だけコンサートを拝観することが叶いました。
2008年の公演が幻のものとなったため、その時の来日が結果的に最後のものとなってしまいました。
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中止となった公演の予告チラシ。 |
アコースティック・ギターの弾き語りのみの構成なので、観客は息を飲み、彼の演奏に全神経を集中させていました。
個人的には、前から4列目のいい場所で見ていたにもかかわらず、ほとんど目をつむって音に集中していました。
どうしても聴きたかった名曲「フェリシダーヂ」を聞いていたら、心地よい風が吹く草原の中にいるような気分になったのを、今でも覚えています。
肉体は消えてしまっても、残してくれた音楽とその魂は、多くの人々の心の中に響き続けていくのでしょう。
これからも、夏の終わりになるたび、あなたのことを思い出します。
R.I.P.
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敬意を表して、’90年のアルバムを飾っています。 |
和英